スーツはデザイナーズブランドの服と同じように「春夏シーズン」と「秋冬シーズン」の生地に大まかに分けられます。
冬が終わりに近づき暖かくなってきた頃には、春夏シーズンに特化した生地のスーツを着る楽しみがあるという方も多いのではないでしょうか。
たとえそうでなくとも「これから春夏シーズンに向けた良い一着を持っておきたい」と考えていらっしゃる方も多いかもしれません。
今回はそのような方向けに『春夏シーズンを快適に、かつおしゃれに過ごすためのスーツ生地』についてご紹介してまいります。
目次
春夏シーズンのスーツで抱えがちな悩みとは?
春夏向けのスーツ生地というのは一般的には「通気性に優れ」「軽量な」生地が多いです。
夏場となるとシャツ一枚でも暑いという方がほとんどだと思いますが、ジャケットを羽織らなければならないシーンもあるでしょう。
そのような時に抱えがちな悩みというのは、
「汗をかいてスーツ生地がしめってしまう」
「熱がこもりがちである」
といった悩みが多いです。
そのような悩みを解消するために、生地メーカーもこぞって先ほど申し上げたような「通気性に優れ」「軽量な」生地を生み出しています。
加えて、春夏シーズンで快適におしゃれにスーツを着こなすには生地選び以外にもデザインの面で対策できる部分もあります。
生地選び以外でのテクニックについては後半にご紹介してまいります。
春夏シーズンにおすすめのスーツ生地
まずは春夏シーズンにおすすめのスーツ生地についてご紹介していきます。
スーツ生地の「素材」に焦点を当ててお話しすると、以下のようなものが春夏シーズンのスーツに適しています。
・コットン(綿)
・リネン(麻)
・ウール(羊毛)
・モヘア
・シルク(絹)
「自分が持っている服の成分表で見たことがあった」などと感じる方も多いのではないでしょうか?
それぞれの生地の特徴について順番にご紹介しつつ、どのようなシーンに活用するべきかのアドバイスも交えます。
コットン(綿)
私たちが日頃使用している衣類の中では、もっとも目にすることの多い素材とも言える「コットン」。
コットンの特徴としてピックアップされやすいのが「肌触りの良さ」であり、肌に馴染む自然な着心地が魅力です。
インナーやシャツなど、肌に直接触れることの多い衣類に関してはコットンが使用されているケースがほとんどです。
見た目という観点からコットンに焦点を当てると、柔らかな風合いとビビットな色合いを楽しむことができるというメリットがあります。
コットンは染色性に優れるという特徴があり、ウールなど他の天然素材ではなかなか見られないような色合いの生地を作り出せます。
また、チノパンやデニムで見られるようにエイジング(経年変化)を楽しめるのもコットン素材ならではの魅力ですね。
一方で「縮みやすい」という点には注意したいところです。
新品のデニムやコットンのシャツを洗濯した経験のある方であればご存知かもしれません。
コットン素材のスーツを購入される場合には一般的なカジュアルウェアでも、オーダースーツでも、コットン特有の縮みを考慮しながらサイズを合わせることが重要になってきます。
※コットンスーツに関しては他の記事でもご紹介しております。
リネン(麻)
清涼感と独特なシワが特徴の「リネン」はシャツや寝具で見られることの多い素材です。
春夏を代表する素材で通気性・速乾性に優れます。
そのため雑菌が繁殖しづらく、清潔に保ちやすい素材だと言われています。
スーツ生地にもリネンを使用したものが存在します。
一般的にはリネン100%で使用されるというよりかは、10%~30%の割合でウールなどと混紡されるケースが多いです。
他素材と混紡させることで、リネンのデメリット(メリット)とも言えるシワの入りやすさを軽減し、リネン特有のツヤを生地にプラスすることができます。
写真ですと伝わりにくいかもしれませんが、独特の風合いとツヤ感はスーツとして仕上がった時にかなりおしゃれな印象となります。
ウール(羊毛)
スーツといえば、この「ウール」という素材が主となります。
マフラーやコートなどに使用されるため「暖かい」というイメージを持たれている方も多いです。
ですが、ウールは吸湿性が高く、春夏シーズンに適した生地を選べば涼しく着用できます。
では「春夏シーズンで着用するウール100%の生地の特徴は?」と気になる方も多いでしょう。
一般的には「薄地の平織りで、織り目に適度なゆとりがある通気性に優れた生地」を使用します。
他シーズンでも着用できるオールシーズンものとなると「やや重量感のある平織の生地」や「比較的軽量な綾織りの生地」が使用されます。
シルク(絹)
ネクタイやポケットチーフによく使用される素材の「シルク」です。
上品な光沢感と滑らかな手触りが魅力で、シルク生地を使用するとラグジュアリーな印象のジャケットに仕上がります。
「摩擦に弱い」という特徴があるため、スーツよりもジャケット単体で使用するのがおすすめです。
こちらもリネン同様、シルク100%の生地よりもウールなどにシルクを混紡した生地にすることでシルクの魅力を活かしながら着用しやすい一着に仕上がります。
※シルクといえば「ネクタイ」や「ポケットチーフ」に使用されています。関連記事もございますのでご参考に。
モヘア
アンゴラヤギから取れる素材で通気性が高く、熱がこもりにくいというメリットがあります。
見た目の特徴としては、清涼感のある独特なツヤがあります。
糸の細いウール素材と比較すると着心地はやや硬い印象になり、馴染むのにやや時間がかかります。
既に春夏用のスーツを持っている方で、ワンランク上の春夏用スーツをご検討の方におすすめの素材です。
春夏のスーツ「生地以外で気をつけるべきこと」とは?
春夏シーズンにおすすめのスーツ生地についてご紹介しましたが、生地以外でも春夏シーズンを快適に過ごすコツがあります。
スーツのデザインにこだわるだけでも、より快適な春夏シーズンを過ごせますので、次はおすすめのデザインについてご紹介していきます。
「背抜き」のスーツはより涼しく
ジャケットの裏地には様々な仕様がありますが、背中の裏地を省いたデザインが「背抜き」です。
裏地がないことで通気性に優れ、春夏シーズンのスーツ生地のメリットを活かせるデザインとなっています。
ただし、裏地がない分シャツとの摩擦などで生地がダメージを受けやすいということ、生地によってはシャツなどのインナーが透けて見えるという点には注意しなければなりません。
「ベスト」の着用でかっちりとした印象に
暖かくなると「ジャケットを着ない」という方も多いですが、かっちりとした印象を与えなければならないという方も多いでしょう。
その際は、ジャケットを羽織るのではなく、ベストを着用するというのも一つの手です。
暖かいシーズンでもしっかりとした着こなしができるということで、周囲からの印象も変わってくるはずです。
春夏シーズンのスーツは生地もデザインもこだわりを持って。
春夏シーズンでスーツを格好よく着こなすための生地やデザインについてご紹介しました。
暖かいシーズンの生地は明るい色合いが多く、スーツを楽しめる時期でもあります。
今回の記事が、春夏シーズンをよりよく過ごすための参考になれば幸いです。
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