はじめてのオーダースーツのお仕立ては心躍るものです。一方で、どのような生地・デザインで選んだら良いのかという迷いもありますよね。
当店にご来店されるお客様でも生地・デザイン選びで迷われる方は多く、ご相談をよく受けております。
今回は「はじめてのオーダースーツにおすすめのデザインと生地」について、福岡のオーダースーツ専門店「福岡えびすテーラー」のスタッフがご紹介します。
目次
はじめてのオーダースーツを作るときのアドバイス
おすすめのデザインや生地についてお話しする前に、まずは「はじめてオーダースーツを作る時に気をつけておきたいこと」をご紹介します。
スーツを着る「目的」と「場面」を考えておくと良い
オーダースーツをはじめて仕立てる方が迷われる大きな原因となっているのが「スーツに使われる生地の選択肢が多いこと」です。
メーカーごとに色や柄、目付(重さ)など異なる生地を生産しており、似たような色合いや柄の生地も多く、ほとんどのお客様が迷われます。
ですが、あらかじめ「スーツを着る目的」を決めておけば、スタッフもそれに合わせておすすめの生地を提案できます。
理想のシルエットに近づけるには、数着オーダーする必要がある
はじめてお仕立てしたオーダースーツが体にぴったりと合い、改善点の見つからないスーツが完成するケースももちろんあります。
ただし一般的には、生地の厚みやデザインによっても着心地が変わってくるケースもあり、1回目で理想のシルエットのスーツを仕立てるのは難しいと言われています。
前回のオーダーで気になった箇所を訂正しながら回数を重ねていけば、より理想のシルエットのスーツに近づきます。
はじめてのオーダーは気楽に試されてみて、時間をかけながら理想のシルエットを追求するのも、オーダースーツの楽しみの1つです。
時間に余裕を持ってオーダーする
オーダースーツはその人の体型に合わせて作られますが、オーダーが入った後にお仕立てが始まるため、スーツが出来上がるまでにある程度の時間を要します。
スーツを着用したい日時や季節などが決まっているのであれば、早めのオーダーをされることをお勧めします。
早めにオーダーされれば、微調整の時間も取れ、生地の選択肢が多くなるなど良いこと尽くしです。
はじめてのオーダースーツはベーシックなデザインがおすすめ
オーダースーツではパーツごとに様々なデザインを選べます。
デザインによって使えるシーンや機能も変わってくるため、デザイン決めで迷われるお客様も多いです。
はじめてのオーダースーツのデザインを決める際には、基本となるデザインを選ぶことをお勧めします。
続いては、基本的なスーツのデザインの一例についてご紹介していきます。
シングルの2つボタン
ジャケットのフロントボタンが2つあり、上のボタンのみ留めるタイプです。
ネクタイやシャツが見えるVゾーンとのバランスもよく、ベスト付きのスーツ(3ピーススーツ)との相性も良いため、扱いやすいデザインです。
少しこだわりをプラスしたいという方は「段返りの3つボタン」を選んでみても良いでしょう。
ノッチドラペル
ジャケットの襟の形です。一般的なジャケットでも採用されており、幅広い場面で活用できるのは「ノッチドラペル」です。
お仕事用でもカジュアル向きでも使用できるので、こちらの「ノッチドラペル」を選んでおけば間違いありません。
ノッチドラペル以外には先端が上向きになった「ピークドラペル」もあります。
こちらはパーティーなど華やかなシーン向けのデザインとなっています。
水平・蓋付の腰ポケット
腰ポケットはシンプルな「水平・蓋付」のポケットを選んでおくと間違いありません。
少しこだわりの欲しいと言う方は、ポケットの上に小さなポケットのつくチェンジポケットや、斜めになったポケット(ハッキングポケット)を採用するのもオーダーらしさが出てよいでしょう。
袖ボタン
スーツに採用される袖のボタンは「3つボタン」か「4つボタン」が多いです。
3つボタンであれば、ボタン間に隙間のあるデザインや、くっつきのものを選ぶのが良いでしょう。
4つボタンであれば、くっつきのものか、重ねボタンを選ぶとバランスの取れたデザインになります。
ベント
ジャケットの腰部分にある切り込みのデザインです。
はじめてのオーダースーツであれば真ん中に切り込みのある「センターベント」。
もしくは両サイドに切り込みのある「サイドベンツ」がおすすめです。
パンツのタック
パンツをスマートに見せる「ノータック」も人気ではありますが、最近では「タック入り」のパンツも人気が出てきています。
タック入りのパンツは腰回りに程よいゆとりがあり、動きやすく、見た目も上品です。
フォーマルな場面で着用するスーツでは「ワンタック」のデザインが基本となります。デザインで迷われた際はワンタックにしておけば間違いないでしょう。
裾口
シングルとダブルが選べますが、お仕事用のスーツとして選ばれるのであればどちらのデザインでも構いません。
喪服などのフォーマルな場面で着用するスーツであれば「シングル」の裾を選ぶ必要があります。
それぞれで綺麗に見える裾の丈が異なりますので、好みの裾の長さも考慮しながら選ぶのも良いでしょう。
はじめてのオーダースーツの生地は使いやすさを重視
近年では、既製品と変わらないような手頃な価格でオーダースーツが手に入るようになりました。
気軽にオーダースーツに触れることができるようになったものの、気持ちよく着用できるオーダースーツを作るには、ある程度のお金をかける必要があります。
続いては「はじめての生地選びで注意したいポイント」についてご紹介します。
「ウール100%」の生地がおすすめ
手頃な価格帯のオーダースーツになると、生地には化学繊維である「ポリエステル」が混紡されているケースが多いです。
ポリエステルを混紡した生地は速乾性・耐久性に優れ、手頃な価格で手に入ります。
ただしデメリットとして、ざらついた様な手触りがり、長期的に着用すると独特の疲れ切ったようなシワが出ます。
「ウール100%」の生地であれば、手触りも柔らかく、ツヤ・色合いも上品で、スチームなどでシワの回復も見込めます。
長期的に着たいと思える生地かどうか
糸が細く、美しいツヤを持つ高級生地で仕立てるのも良いのですが、耐久性が低く、着用できるシーンも限られてきます。
はじめてのオーダースーツでは、ある程度の耐久性と上質なツヤを両立した生地を選ばれるのがおすすめです。
長期的に着れるスーツの方が愛着も湧きますし、次のオーダースーツの改善点も見つけやすくなります。
はじめてのオーダースーツにおすすめの生地
当店でも取り扱いのある生地の中でおすすめなものについてご紹介します。
カノニコ「ペレニアル」「プリュネル」
Super110’sのウールが使用され上品なツヤを持ち、色・柄のラインナップも豊富なイタリアの生地です。
ワンランク上の高級生地にも匹敵する質感を持ちながら、コストパフォーマンスにも優れているので一着は持っておきたい生地です。
はじめてのオーダースーツの生地選びで迷われた際は、こちらの生地を選ばれれば間違いないでしょう。
ジョンフォスター
こちらはイギリスの生地で、程よいツヤと耐久性を備えています。
イタリア生地と比較すると、スーツとして仕立てた際にシワが目立ちにくく、美しいオーダースーツが仕上がりやすいです。
長期的に着用していく中でその魅力を発見する生地でもあり、お客様からの評判も良いお勧めの生地です。
ゼニア「トラベラー」
はじめてのオーダースーツに使用するには、ややお高めの生地だと言えます。
ですが、高級感のあるツヤと実用性に優れた防シワ性、高い知名度・ブランド力があり、高価格帯の中ではオーダーされることが多い生地です。
こちらの生地で一着仕立てておけば、今後のオーダースーツの生地選びの良い判断材料になるはずです。
まとめ
今回は「はじめてのオーダースーツにおすすめの生地とデザイン」についてご紹介しました。
はじめての一着を仕立てる際の参考になれば幸いです。