秋冬におすすめ。一度入ったら戻れなくなる、魅力的な「フランネル」の世界

投稿日:2020年10月12日 更新日:

10月に差し掛かり、本格的な冬もそこまで近づいて参りました。

仕上がりまでには約一ヶ月いただくので、冬物の準備は今がベストです。業界的にも「オシャレを楽しむ時期」に突入する訳です。

秋冬用の服地は、素材によって大きく表情が変わります。重ね着も楽しみやすくなる為、よりファッションを通して個性が表現しやすくなります。

今回の投稿は、本格的な冬へ向けて、秋冬用生地の定番でもある「フランネル」にスポットを当てたいと思います。

生地に用いられる糸の種類について

本題前に、フランネルを始めとするスーツ生地にはどのような種類の糸が用いられているのでしょうか。簡単に触れたいと思います。

一般的に、スーツ生地素材として最もメジャーなのは羊毛です。幾つもの工程を経て、一本ずつ糸に加工してから服地となりますが、スーツ生地によって、用いられる糸は変わってきます。

大きく分類すると下記の二種類となります。

・梳毛糸(そもうし)

細く、長い糸。普及しているスーツ地のほとんどが梳毛糸を用いられています。

クリアカットと呼ばれる仕上げを施すことで、毛羽が無く滑らかで、艶やかなのが特徴です。

 

・紡毛糸(ぼうもうし)

繊維の向きが揃っていない状態で紡いだ糸のことを指します。

太く、短めで毛羽のある糸です。フランネルやツイードの服地に用いられます。温かみがあり、良い意味で荒く、重厚感があります。

上記のように、皆さんが普段イメージしやすいスーツには梳毛糸が使われており、最もメジャーです。

フランネルには一般的に紡毛糸が使用されます。

「フランネル」とは

元は英国のウェールズ地方に伝わる毛織物のことです。別名、フラノとも呼ばれます。

表面が起毛しているのが特徴で、肉厚で保温性にも優れており寒い冬にも安心です。着用時期や地域によっては、コートも不用なくらい保温性が感じられます。かっちりしたシーンにでも、時には着崩しても様になる。TPOに合わせて、表情を変えやすいのがフランネル生地の特徴です。

インナーに変化を付け、タイドアップせずにジャケット単体での着用もお勧めです。また、着込むと馴染むことで柔らかさも出るので、永く楽しむことが出来ます。

「経年変化自体を楽しめる」フランネル最大の魅力かもしれません。生地メーカーによって風合いが異なることから、比較も楽しみの一つです。

フランネルの名門といえば

フランネルといえば…世界的に有名なブランドがすぐ浮かびます。

キングオブフランネルとも呼ばれているFOX BROTHERSです。「お勧めのフランネル」として、著者も自信を持って提案することができる服地です。絶妙な柔らかさと、強いコシ。無地の服地からでも奥行きを感じられる美しさ。

他社とのフランネルとは一線を画す、超一級のフランネルを作り出しています。FOXのフランネルは「霜降り」具合がたまりません。

福岡えびすテーラーでは、現物服地を多くご用意しております。

店頭でお手に取っていただき、FOX BROTHERSのフランネルの魅力を感じていただきたいです。

FOX BROTHERS

メーカーの歴史についても触れていこうと思います。

FOX BROTHERSは「英国フランネルの代名詞」として、1772年にイングランドの南西部サマセットで創業されました。

高いクオリティーと量産体制確立後は、堅牢なサージ地を王立陸軍に納入するほどの圧倒的な支持がありました。特にフランネルにおいては群を抜く高い評価を誇り、サヴィル・ロウを始めとする名門テーラーで現在も扱われています。

元イギリスの首相であるウィンストン・チャーチルや、ウィンザー公などからも愛され、FOXのフランネルは紳士たちの憧れの服地です。英国の伝統は守りつつ、毎シーズンアップデートさせる魅力的な服地の数々。

アパレル関係者のみならず、コアなファンは世界中にいます。そんなFOX BROTHERSですが、今季の秋冬用として展開しているコレクションについても触れてみます。

・VINTAGE FOX

今季、FOX BROTHERSは1940年代のアーカイブブックからセレクトした「VINTAGE FOX」というフランネル服地のコレクションを展開しています。

ビジネスシーンにおいて、ネイビーやグレーが選ばれている中ではあるものの、ブラウンやベージュなど秋冬シーズンならではのカラーリングが魅力的なコレクションです。

個性を出しながら、オシャレを楽しみたい方にはお勧めです。

 

・FOX CITY

本投稿の題材であるフランネルでは無いですが、3シーズン着用出来る汎用性の高い服地です。

強捻でハリコシに優れておりシワにも強い特性を持っています。VINTAGE FOX同様、選べるカラーリングが豊富です。

著者も自身の着用スーツとして、実際に仕立ててみました。ドライな肌触りの中にも温もりがあり、仕立て映えする一着となりました。

無地ですが、単調に見えずしっかりと味が出ているのがさすがFOXといったところ。

フランネル同様、数年後にまた別の表情で楽しめそうな印象。長期に渡って活躍してくれそうな雰囲気があります。

まとめ

今回は、フランネル生地にスポットを当てました。

保温性に優れ、季節感を表現できることから、冬に大活躍すること間違いなしの服地です。

長期的に、お客様の「装い」をサポートしてくれます。秋冬のワードローブに、加えてみてはいかがでしょうか。

それでは、今シーズンも秋冬の装いを最大限楽しみましょう。

仕立てる楽しさが、一人でも多くのお客様に届くことを願って。

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