オーダースーツは奥がとても深く、ディティールなどを突き詰めて考え、一着一着仕上がりをイメージしながらオーダーすることはとても楽しく、思わず夢中になってしまう方も多数いらっしゃいます。
ただ深いゆえに、おしゃれな着こなし方を一言で伝えるというのはとても難しいです。ということで、今回はオーダースーツの顔と言っても過言ではない。エリのお話です。
目次
ゴージラインとは
エリについて考える時に、最も目に付くところであり重要視されるところがゴージラインです。ゴージラインというのは図のピンクの線のことで、上衿と下衿のつなぎ目のことを指します。
スーツを着ている姿を見た時に一番目線に近いポイントなので、このゴージラインがどうあるかがデザイン全体を大きく左右します。
ゴージラインの高さが与える印象
一昔前のスーツはこのゴージラインがとても低く、また角度も低いものが一般的でした。エリの幅も8cmから9cmと太めのものが多かったようです。
その頃のスーツに比べると現在のゴージラインはやや高く、また角度も立っています。こうすることで、目線が行くポイントを上にやることができ、胸回りの豊かさが強調されるので精悍でしまった印象を与えることができるのです。
オーダースーツはこのゴージラインの角度や位置を自由に設定できることが多いので、実際にオーダースーツを注文するときには、このゴージラインについてフィッター(採寸する人)と相談してみると良いでしょう。
最適なエリ幅について
ゴージラインは上衿と下衿のつなぎ目の事ですが、下衿の一番広い部分をエリ幅と呼びます。
このエリ幅はある程度流行により左右されます。一昔前のエリ幅は9cm前後と、とても広かったですが、一時は5cmから5.5cmととても細くなりました。しかし2018年現在、また少し広めのエリ幅も増えてきています。
このように時代によって流行のエリ幅は変化するのですが、オーダースーツの場合、基本的には肩幅に連動させると綺麗に見えます。
あくまでひとつの目安ですが、肩幅43cm程度の方で約6.5~7cm、肩幅46cm前後の方で約7cm~8cm、肩幅50cm前後の方で8~9cmを基準にすると綺麗に見えます。
もちろんお好みで変更することもできるので、実際のスーツの着用イメージなどによって変えてみるのも面白いかもしれません。
エリ型の主な種類
ノッチドラペル
ここまでエリ位置と太さについて書いてきましたが、エリの形についてもたくさんの種類があります。一般的なスーツに最も多く使われるのが「ノッチドラペル」という形のエリです。このエリの特徴はエリ先が「く」の字になっており、スーツとして最も見かける形がゆえに、ごく自然な印象になります。
一般的なビジネスや結婚式に使われるエリの形です。
ピークドラペル
ピークドラペルとは、下衿の先が尖っており、文字通りエリ先がピークの形をしているものをさします。ノッチドラペルに比べるとややドレッシーな印象があり、もちろんビジネスで着られる方もいらっしゃいますが、結婚式やパーティなどで個性的なスーツの印象をより浮きだたせたい時に使います。
フラワーホールについて
主に左エリに空いている穴があります。このエリ穴には「フラワーホール」という名前がついています。
近年では社章などを挿している方がとても多いですが、もともとは花を一輪さすのに使ったりしたそうです。イメージするデザインによってはこのフラワーホールの縫い糸を変更してデザインを主張したり、またフラワーホールを2つ並べたりして少し変わったイメージに仕立てたりすることもあります。
その他のエリ型
クローバーカラー
エリ先が丸くなっている種類のエリをクローバーカラー・クローバーラペルと呼びます。ちなみに上衿のことを「カラー」下衿のことを「ラペル」と呼ぶので、上衿が丸くなっているタイプはクローバーカラー、下衿が丸くなっているタイプは「クローバーラペル」と呼びます。
一般的なビジネス用として使われるスーツで見かけることはあまりありませんが、あえて他とは違うデザインを衿に施すのも面白いかもしれませんね。
タブカラー
上衿(主に左)に持ち出しが付属しているタイプをタブカラーと呼びます。こちらもスーツで見かけることはあまり多くはなく、どちらかというとジャケットなどややカジュアルなテイストなものに多く使われるディティールです。
ショールカラー
和名では「へちまえり」と呼ばれることもある「ショールカラー」。こちらはうってかわってドレッシーなイメージが強いのでタキシードなどのフォーマルウェアで使われることが多いディティールです。タキシードはこのエリの部分を拝絹というシルク素材の光沢のある生地を使うことが多いです。
まとめ
オーダースーツの面白さには「奥の深さ」というものもあります。生地を選ぶというのももちろん楽しみですが、ディティールを追求し、その成り立ちや歴史なども一緒に調べてみると、オーダースーツ作りや着用がもっと楽しくなります。
今回はエリに関するディティールだけでしたが、こういったものがいたるところにあるのがオーダースーツの魅力でもあります。
よりオシャレなオーダースーツ、かっこいいオーダースーツ、かっこいいと思われるオーダースーツを追求してみてくださいね。