普段のスーツスタイルで私たちが必ず身に着けているのが「ネクタイ」。
せっかく仕立てたオーダースーツをよりかっこよく見せるためにも、ワンポイントとして、効果的で重要なアイテムのひとつです。
今回は、そのネクタイの中でも最もポピュラーなシルク素材のネクタイについて日常的なお手入れ方法をほんの少しですがご紹介させていただこうと思います。
目次
ネクタイの基本的な手入れとは
クリーニングはシルク素材の大敵
汗やシミなどの理由でネクタイを安易にクリーニングへ任せる人も多いと思いますが、本来、シルク素材のネクタイはクリーニングは避けた方がよいです。
何故なら、シルクは天然素材の中でも最も自然な風合いをそなえ、発色性、染色性にも優れていますが洗えば洗うほど少しずつ光沢を失うからです。
小さな生地のため見た目にはクリーニング後の違いは分かりにくいですが、面積の大きな無地のシルク製品で確かめればクリーニングによる光沢の減少は明らかになります。
特にクラッシックなネクタイの生地の色は紺系を中心に濃い色合いが多いため光沢の減少は致命的となります。
クリーニング店へ任せるときは染み抜きなどの特別な場合だけにしましょう。
シルクはあらゆる繊維素材の中でも最も美しい色合いをそなえていますが、以下のようにとても繊細で欠点も多いのが特徴です。
・太陽光に弱い
・変色しやすい
・撥水性がない
・虫(虫食い)にも弱い
シルクは他のネクタイ素材と違い風合いと光沢が生命線です。
ネクタイの保管、取扱い方法
ネクタイは吊るさないで丸める
シワを取り除くためには吊るさず丸めた方が理想的です。
二つ折りにしてから緩く巻き取り円筒形にしてそのまま一晩置いておきます。上質なシルクのネクタイであれば、この方法でシワは除かれます。
また保管方法もスペースがあれば、クローゼットの引き出しに円筒形のまま並べて置きます。
最近ではショップのディスプレイなども丸めて置くところが増えていると思いますが、この方法が最もネクタイを傷めないのが理由のようです。
バーに掛ける保管方法もありますが、掛けジワがつきやすくシワが取れにくくなるという欠点もあるのできるだけ丸めて置いた方が正解でしょう。
また着用後、ネクタイを首から外すときは決して強く引っ張らないことも基本です。
もし糸のどこかが、ほつれてしまうと中々元通りに復元することは難しいからです。
アイロンは決してかけない
ネクタイにアイロンはできるかぎり避けましょう。
アイロンでネクタイをこすると芯地とシルク素材が形成する立体感を著しく失ってしまいます。
アイロンをあてるなら、シワになりやすい首まわりのみにし、決してこすらずスチームで軽く馴らしながら圧すだけにしましょう。
・ネクタイの気になる部分のシワを手で伸ばし当て布をします。
・アイロンのスチームを浮かしながらあてます。あて布の無いところに直接スチームを当ててしまわないように気をつけましょう。シルク素材はスチームの水滴でシミになる場合があります。
・スチームを当てたら一度当て布を外し、シワが伸びる方向を確認して手でシワを伸ばしていきます。
・シワが伸びているのを確認できたらスチームを切った状態で、すぐに再びあて布をし浮かせながらアイロンの熱で水分を蒸発させ乾燥させます。
・アイロンを生地に直接当てると、テカリの原因になるので必ずあて布をし十分に浮かせるよう注意しましょう。
糸のほつれは焼き切る
そしてシルク素材のネクタイは糸がほつれやすいことも特徴の一つです。
万が一、糸が飛び出してきたら決してハサミでカットせずライターなどの火で糸を焼き切った方が実は効果的のようです。
ハサミによる切断は分子がすぐに復元し、また同じ糸がすぐに飛び出してくるからです。
浴室、脱衣室にかけておく
シルクは最も人の肌に近い繊維としても知られています。
浴槽から出る湯気が適度な湿気を生み保湿をすることでシワの復元が早く、ネクタイ自体の持ちも長くなったりするようです。
ただし、これも人の肌と同じように、ふやけるほどの湿気を与えてしまうと、ネクタイの表面が波打ったりと逆効果になることもあります。せめて脱衣室にかけておくくらいにしておきましょう。
まとめ
シルク素材のネクタイは非常にデリケートです。一度着用したら必ず数日は休ませてあげましょう。
毎日のような高い頻度で使っていると、シワがどんどん深くなり、いずれそのシワは完全に固定されてしまいます。
残念ですが、そうなったら、もう本来の姿に戻らないのがシルク素材のネクタイなのです。
人からプレゼントされることも多いネクタイ。お気に入りのネクタイを首から外すときは自身で必ずチェックし、しっかりとメンテナンスをしてあげましょう。
そうすれば、末永く大切なネクタイをご愛用いただけるのではないでしょうか。