海外生地に負けない、国産スーツ服地の魅力とは?

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「オーダースーツを作る時におすすめの生地はどこですか?」

お客様によく聞かれる質問です。

イギリスでしたら、ジョンフォスターやハリソンズ・・・、イタリアならカノニコやゼニア・・・、いわゆるメジャーな生地をおすすめすることも多いですが、そういった生地は認知度もあり、すでに詳しい方も多くいるので、今回は国産のおすすめの生地をご紹介しようかと思います。

ていねいな物づくりが特徴の国産生地。当店でおすすめしている国産生地を参考に、特徴などをご紹介していこうと思いますので、ぜひ最後までお読みください。

国産生地といえば尾州

愛知県、岐阜県を中心とした尾州地方は日本最大の毛織物産地となっており、国内での生産量の約8割ものシェアを誇ります。

イタリアのビエラや、イギリスのバターフィールドと並んで、世界三大生産地と称されることもあるくらい、世界的に知名度が高い生地生産地区です。生地を作るうえで重要なものが、良質な「水」です。世界に数ある有名生地産地の近くには、必ず良質な水源があります。

尾州地方にもその良質な水源が豊富にあるので、日本を代表する毛織物地方となりました。もちろんそれ以外にも有名な産地となっていった理由はあるのですが、掘り下げて尾州の魅力を話すと、おすすめの生地の話に辿り着くまでに時間がかかりそうなので、尾州の魅力の深い話は次の機会でお話しさせていただきたいと思います。

当店おススメの尾州生地 【Colchis(コルキス)】

当店での販売価格はシングル上下で63,800円(税込)となっている生地です。

コルキスとはギリシャ神話にでてくる秘宝の一つ「金羊毛」の事で、金色の羊の毛を所有していた王国の名前が由来となっている生地です。当店で取り扱っているインポート生地で同じ価格帯のものと言えば、イタリアのカノニコ、イギリスのジョンフォスター等がありますが、そういったインポート生地にも負けない魅力が詰まった生地となっています。

コルキスの生地の最大の特徴は、今では希少となっているションヘル織機という織機で織ることにより、ウール本来の持つ風合いや特徴を最大限生かしている点です。ウール独特の光沢やナチュラルストレッチ性を備えた生地は、見栄えも良く機能的で使いやすさ抜群です。では、そういった特徴的な生地を作り出すために欠かせないションヘル織機について少し書いていこうと思います。

ションヘル織機とは?

ションヘル織機とはドイツの織機メーカーである、ションヘル社のシャトル織機のことです。

ションヘル織機は、現在の主流となっている最新式の織機と比較すると、約1/5程度の非常に遅いスピードで生地を織るのが特徴です。

正直スピード面を考えると生産効率は非常に悪いのですが、最新型の織機に比べて、ションヘル織機のほうが優れている点があります。それは、生地を織る為にかかる縦糸のテンションの違いです。最新式の織機では生地を織るときに縦糸にテンションがかかりますが、それに対して、非常に遅いスピードで織るションヘル織機は縦糸にあまりテンションがかかりません。

テンションが掛からず織りあげた生地は、ウール本来の風合いが生かされ、生地にボリューム感が生まれ、さらにウール特有のナチュラルストレッチ性が生まれ、非常に着心地の良い、仕立て映えする生地が織りあがります。生産効率が悪いからこそ、逆に着心地の良い、魅力的な生地が出来上がります。

そんな魅力的なションヘル織機ですが、生産効率の点から、今では取り扱う生地メーカーが少なくなってきています。現存している織機も、新たな部品供給が終わってきているので、今ある織機が壊れたら最後ですし、織機を取り扱う職人さんがいなくなっても市場に出回らなくなってしまいます。今後はより一層ションヘル織機を使っての生地の提供は少なくなるかもしれません。市場から完全になくなってしまう前に、ぜひションヘル織機を使った生地の着心地を皆様にも試してもらいたいですね。

スーツにおススメの生地

Super130’sの原毛を使ったシリーズです。肌触りと着心地の良さ、見た目の上品さを兼ね備えた、生地となっています。定番的な柄も多く、何着あっても、いつの時代に来ても飽きのこない所が魅力ですね。

ジャケットにはこちら

綿、ナイロン、リネンの三者混。それぞれの素材が持つ特徴を組み合わせているので、とても使い勝手の良い生地となっています。

ご紹介した生地以外にもたくさんの柄がありますので、ぜひ店頭でチェックしてみてください。

 

まとめ

世界的にも有名な尾州地方で作られた国産生地【Colchis】コストパフォーマンスに優れ、大変オススメな生地となっています。もちろんイタリアやイギリスの生地もおススメではありますが、機会がありましたらぜひ、国産生地にも触れてみてください。日本のていねいな物づくりの文化に、きっと気付けると思いますよ。

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