オーダースーツは体に合わせて作ります。体型というのは本当に様々で、似たような体型の方はいらっしゃっても全く同じ体型の人はいません。
身長、胴幅、肩幅などの寸法に加えて、お尻が出ているとかいないとか、怒り肩とかなで肩とか、その肩が前についているとか後ろについているとか、本当に様々です。
今回のブログではそんな千差万別のサイズの中から、「長さ」に関するお話をしてみたいと思います。ですので肩幅とか胴幅とかに関する話は全く出てきません。長さだけに絞っています。
オーダースーツを注文するときや、既製品のスーツを買うときなどの参考になると思うので、良かったら読んでみてください。
目次
スーツの丈(上着)長さの基本
スーツの上着丈は全体の印象を左右します。
短いとややモード調っぽくなり、軽快感も出てくるため若い方や体型の細い方にはおすすめです。もちろん短めのスーツとしても良いですし、ジャケットの丈は少し短めに設定することもあります。ただし短すぎるのは少し変な感じに見えてしまうので注意も必要です。
逆に長い場合は、重厚感や落ち着いた感じを演出しやすいですが、長すぎると野暮ったい感じになってしまうこともあります。
丈の決め方のポイントとしてはお尻の頂点はギリギリ隠れる程度ということはあります。
既製品のスーツだと、上着丈は基本的に変えることはできないですが、オーダースーツなどは自由に設定することができます。実は上着丈を決めるときには参考になる数値があります。
身長です。
厳密に言うと頭部を除く長さです。第七頸椎から床までの長さを基本とするとこれの半分の長さを基準とすることがあります。
例えば身長173cmの方の場合、第七頸椎から床までの長さが150cmだったとしてそれの半分、つまり「75cm」というのが基準になります。
あくまでこれは基準で、これの通りに仕上げましょうというわけではありません。
傾向としては、この半分の数値から3cm前後短い長さが丁度よいと感じる場合が多いです。
ちなみに、この半分の数字(今回の例だと75cm)を超えると少し長く感じる場合がありますし、-5cmよりも短くすると少し短すぎるように感じることがあります。
どちらにしても、あくまで基準なので、お好みやデザイン、季節性を考慮してこの数値から離れてくることもあります。
スーツ上着丈の現在の流行
流行としては、やや短めの丈が流行っています。
スーツ全体がスリムになっているので、それに合わせて短くなっているのが現状です。やはり横幅と長さはある程度連動させた方が恰好が良いので、スリムなスーツには短めの丈の方がよく似合います。
ですから流行に合わせる形で短いのが主流なのですが、2018年6月現在、少し長めの丈も流行の兆しを見せています。
スーツ全体がややノスタルジックになってきていることもあり、横幅も少しゆとりがあるシルエットにされる方や長さもそれほど短さを強調しないシルエットをご希望される方も多いです。
例えばダブルのスーツなどではあまり短くしすぎない方が全体のシルエットが綺麗にまとまります。
よく場合には体型やご年齢からアドバイスもさせていただけるのでお気軽にご相談ください。
形によるジャケットの長さの違い
シングルの場合
シングルとダブルを比べるとシングルのスーツの方がやや短めに設定することが多いです。
これはダブルに比べるとシングルの方が軽快感を演出しやすいことやフロントカットの違いによるところがあります。
ダブルの場合
ダブルブレステッドの大きな違いはフロントカットがスクウェアになっていることです。
本来的にはダブルの方は丈を長く設定した方が格好良いのですが、野暮ったさを敬遠し、少しだけですが短く設定することがあります。
ダブルのスーツをオーダーする際は、ボタンの数(4つボタン1つ掛け、6つボタン2つ掛けなど)によりシルエットが大きく変わりますので、気を付けたいところです。
クラシックなボックスシルエットで仕上げる場合には、先ほど出てきた数字ですとぴったり半分の75cmで仕上げることもありますし、最近のテイストを踏襲する場合には2~3cm短くしても良いかもしれません。
アイテムによる上着の長さの違い
スーツの場合
先ほどの基準数値を参考にしながら、お好みを反映することが多いです。
半分の長さ75cmを超えない程度に気を付けながら、お好みやご希望シルエットを見ながら調整していきます。もちろん75cmを超える長さを設定することもあります。
ジャケットの場合
ジャケットも、スーツ同様基準を参考にしていきますが、年齢によりスーツの場合よりも少し短めにすることもあります。
同じ型がスーツとジャケットを作る場合に、スーツの丈よりもジャケットの丈の指示寸法を1~2cm短くすることもあります。
礼服(フォーマル)ディレクターズスーツの場合
礼服は傾向としてスーツやジャケットよりも少し長くすることが多いです。
これは着用場面の関係上、あまりオシャレにすることが好まれなかったりするためです。長いといっても基準の数値よりも長くすることはあまりありません。
タキシード
本来のタキシードはディレクターズスーツなどと同様の長さです。
そもそもタキシードとは、夜の略礼装のことです。正礼装は燕尾服ですが、最近では出番があまりないので、タキシードが正礼装と言われることもあります。
結婚式などで新郎が着るフロックコート風の長めの衣装をタキシードと呼ぶことがありますが、正しいタキシードは通常のスーツなどと同じ長さです。
フロックコート
一般にフロックコートと呼ばれるパーティなどで着用するロング丈のセレモニースーツはデザインによっては長めに設定することがあります。
通常は先ほどの基準点から10~20cm程度長くして着ます。これによりヒザよりも10cm~20cm程度上の丈になります。
モーニング
モーニングは専用の形状をしています。
長さはぐっと長くなります。
パンツの丈
上着の長さに関するところはこれくらいにして、今度はパンツの丈についてお話してみます。
長さの基本
パンツの丈の長さは時代や流行によって大きく左右します。
しかしこれにも一定のルールがあり、裾幅に連動するということです。
現在の基準では裸足で床に立った時に床から2~3cm程度です。もちろんお好みで床にぴったりつくくらいまで長くすることもありますし、くるぶしが見えるくらい短くすることもあります。
一つ言えるのは裾幅を細くした場合に、極端に長くしても足の甲で止まってしまうためある程度以上はすそが下りてこなくなるということです。
ですから一般的には裾幅を細くしたスーツは短めに設定します。
その上で、足の甲のところでワンクッションするかハーフクッションにするかノークッションにするかというところと関係してくるのです。
ですから裾の長さを決める要素というのは、裾幅というのが大きく影響しているといえます。
オーダースーツを作るときは、この裾幅と長さとの関係について相談してみると良いと思います。
現在の流行
一時期は長めが流行だった裾の長さも今では短めが主流となっています。
これは特に年齢は関係なく傾向として短めのようです。ただし、裾幅によっては長めの方が似合うシルエットもあるので、オーダースーツを作る時に採寸をしてもらう方に相談してみるといいかもしれません。
主流ではありませんが、一部ではくるぶしよりも短めの長さで仕上げることもあります。この際は裾幅には特に注意が必要です。
パンツの幅によって長さを分ける
この長さと連動させたいのが「裾幅」です。
一般的には裾が短めのスーツは裾幅を細めに。丈が長めのパンツは裾幅を広くとることが多いです。
もし裾幅の細いパンツの長さを長めにした場合、結局足の甲のところで裾がとまってしまい長さを活かしきれないだけでなく、余分なたるみが多く残ってしまうことになるので野暮ったく見えるという弊害もあります。
もし長めのパンツを履くのであれば、裾幅は少し広めに設定した方が靴のかかとや甲の部分を綺麗に隠せるのでシルエットとしては綺麗にまとまることが多いです。
股上寸法
以外に忘れがちなのが股上の寸法です。
これは股の分かれ目の部分からベルト上部までの長さの事を言います。股上は「深い」「浅い」と表現します。
ノータックパンツは、股上を比較的浅めに設定することが多く、1タックや2タックのパンツは股上をやや深めに設定することでタックの収まりがきれいになります。
もちろんヒップの大きな方やベルトをハイウエスト気味に締めることが多い方は股上は深い方が楽で、履きやすくなります。
まとめ
今回はオーダースーツの「長さ」に関係する箇所のみをまとめてみました。
実は長さに関係していても、今回は書ききれなかった部分もあるので今後また機会をみてお話していこうと思います。
ブログの更新情報はフェイスブックや、ツイッターで更新しています。
またインスタグラムでは仕上がった商品の紹介やオシャレな着こなしをご案内しているほか、ツイッターでは知ってても知らなくてもいいようなスーツの小ネタをご紹介することもあります。
もしよろしければご覧ください。