2018年秋冬、カノニコのラインナップ
広島えびすテーラーがオーダースーツの生地として特におすすめしているのが、イタリアの生地メーカー「カノニコ社」の生地です。
カノニコはイタリアを代表するミルで、自社で紡績をしているため価格の割に品質が良いのが最大の特徴です。
また、毎年新しいラインナップを展開することで、古きを守りつつも常に前衛的な取り組みもしているメーカーです。
そんなカノニコは今年2018年も秋冬の生地のラインナップの沢山の種類を出していますが、広島えびすテーラー独自の視点でバリエーションをまとめてみます。
目次
Saxony 120’s (サキソニー)
サキソニーとは、ウールスーツの代表的な素材のひとつです。全体に薄い毛羽があり、柔らかな綾織物です。
織物に蒸気や熱を与えながら、圧力をかけるとお互いに絡み合い結合する性質があります。このことを「縮絨」(しゅくじゅう)と呼びますが、このサキソニーは縮絨し、軽く起毛させた紡毛織物が一般的です。
感じとしてはフランネルに似てますが、もうすこしすっきりした感じです。
もちろんサキソニー自体は古くからある生地ですが、カノニコの「Saxony Super 120’s」は今年から新しくラインナップに加わりました。
Super 100’sで一般的なスーツ生地に近付けたサキソニー系の生地もいくつかラインナップに加わります。
Woolen Flannel 100’s (ウールンフランネル)
”ウールン”とは紡毛糸といわれる、短く細かい繊維を紡績してできる糸によって織られた生地で、繊維の方向が一定でなく毛羽立っているのが特徴で、秋冬の代表的な生地といえます。
肌触りも柔らかくふっくらとして保温性が高く、見た目も温かみのある生地です。
目付は340gmsと厚手なので、構築的な立体感のある仕上がりになります。
クラシック回帰の流れもあってベーシックな色柄が多いのでビジネスシーンで活躍しそうです。
Flannel 120’s (フランネル)
カノニコの秋冬生地の定番でもある”フランネル120’s”は、表面が起毛しておりフワッとしているのが特徴です。
目付の重めのものが多い中、フランネルらしい温かみを残しつつ270gmsというライトウェイトで120’sと細番手の糸を使用することで光沢や滑らかな手触りの生地に仕上げています。
ベーシックな色や柄もありつつ、トレンドでもある太めのウィンドウペーン等のチェック柄も豊富です。
Revenge 150’s (リベンジ)
カノニコの中で最も質の高い極上のスーツ生地がこちらのリベンジ 150’sです。
最高品質で、より希少なオーストラリア産タスマニアンウールを使用し、極細毛特有の上品な光沢で、まるでシルクのような滑らかさと高級感で、まさにエレガントな一着に仕上がります。
ツイル(綾織)なのでシワになりにくく耐久性にも優れ、ある程度の動作が伴うシーンにおいても問題なく着用いただけます。
また、3シーズン着用することができる生地として大変人気です。
色柄は無地、ストライプ、チェックで落ち着いたクラシックなものから明るい華やかなものまで幅広く、ビジネスはもちろん結婚式やパーティなどの晴れやかなシーンにも着用いただけます。
ワンランク上の大人な一着に仕上がるでしょう。
Covert(カバート)
今季注目の生地がこちらのカバートです。
カバートコートと呼ばれる狩猟の際に着用するハンティングジャケットの上に着るコートの生地に用いられてきた素材から、この名前が付けられたそうです。
本来のツイル(綾織)と比べて斜めの畝の角度が急なのが特徴で、主に屋外での着用を目的に作られた生地なので耐久性、防水性に優れ、コート用の生地としても使える丈夫な生地になっております。
目付は440gmと重く、程良い粗さで光沢は控え目なので上下揃いはもちろん、上記のフランネルやツイードなどの起毛素材とも相性が良いのでジャケパンスタイルにもお使いいただけると思います。
Super Bio(スーパービオ)
今季新たに加わったスーパービオの紹介です。
撚りの強い56番手という太番手の双糸を経緯用いており、目付は360gsmとやや重めで密度の高い平織りの生地です。華やかさというよりは、艶も控えめで、ハリ、コシがあり英国を思わせる重厚感のある生地で、シワにも強くとても丈夫です。
柄はグレンチェック、ストライプ、無地でどちらも落ち着いたシンプルでベーシックな色や柄が多く、ビジネスシーンにピッタリの生地になっております。
イタリアの生地は柔らかく目付も軽めのものが多いのですが、こちらのスーパービオは流行を取り入れた光沢を抑えたマットな質感、強いコシが特徴で、英国製のような昔ながらの正統派のスーツをお求めの方にお勧めです。
Perennial 110’s
毎シーズン安定した品質でカノニコの代表的な生地がこちらのペレニアルです。
”多年生”や”永続的な”という意味を持つペレニアルですが、その名の通り一年を通してお使いいただくことができ、日本の様々な気候にも対応できる、機能性が高く丈夫な生地になっております。
表面はプレス仕上げをすることで滑らかな手触りや艶感を出し、高級感のある光沢を持ちながらもビジネススーツ生地として必要な高い耐久性を持ち合わせています。
また、程よい厚みのツイル(綾織)で伸縮性や弾力性に優れているので、お仕事の中で動きの多い作業や長時間の着用でもヘタることなく丈夫なでタフな生地として有名です。
色柄も落ち着いたベーシックなものが多く、ご友人の結婚式などのパーティシーンからビジネスシーンまで様々なシーンに対応できるうえにオールシーズン着用可能で、高級感と耐久性を兼ね備えた、まさに”安定のペレニアル”なのです。
まとめ
秋冬ならではの温かみのある色であったり、触れて暖かさを感じることのできるフワッとした素材であったりと、春夏とはまた違った生地選びの楽しさがあるので参考にしていただければ幸いです。
実際に素材の違いを目で見て、肌で感じていただけるとより楽しんでいただけるのではないでしょうか。