オーダースーツのトレンドは引き続き英国調(ブリティッシュトラディショナルスーツ)と言われています。
この英国調のオーダースーツのコーディネートに欠かせないアイテムの一つが「クレリックシャツ」です。
フォーマルシーンでは「ホワイトシャツ(白いドレスシャツ)」が、勿論、基本なのですが、ビジネスシーンに置き換えるとコーディネートとしては少しありきたりでつまらない印象になりがちです。
そこでフォーマルシーン以外でのビジネスシーンやカジュアルシーンでは「ホワイトシャツ」より少し洒落っ気のある「クレリックシャツ」がオススメなのです。
「クレリックシャツ」は現代的な英国調のトレンド感を簡単に演出してくれる非常に万能なドレスシャツです。
今回は、当店のオーダーシャツでもご要望の多い「クレリックシャツ」について少し考察してみたいと思います。
目次
クレリックシャツとは何か?
「クレリックシャツ」とは身頃の生地が柄または色無地で、衿やカフス(袖口)のみが白無地になっているシャツのことです。
ちなみに「クレリックシャツ」という名称は、日本独自の総称で和製英語になります。
正式名称は「カラーディファレントシャツ」「カラーセパレーテッドシャツ」「ホワイトカラードシャツ」「ホワイトカラー&ホワイトカフスシャツ」などと呼ばれています。
この「クレリックシャツ」は、20世紀前半のイギリスで、本来は常に高価な「ホワイトシャツ(白いドレスシャツ)」を経済的理由から着る事ができない人々に向けて、汚れたり擦り切れたりした場合に衿や袖口のみを取り替え易いよう汎用性の高い白生地にしたというのが始まりだったそうで、特に当時のイギリスでは「Poor man’s shirts(貧乏人のシャツ)」などと揶揄されることも少なくかったようです。
ただ、当時のイギリスでは街を歩けば、煤で服が汚れやすく洗濯をしても頻繁に汚れてしまうという時代背景も要因のようです。
「クレリックシャツ」は、1920年代の英イギリス・ロンドンで流行し、さらに、2005年の、チャールズ皇太子が自身の結婚式で着用したことでイギリス王室も認めるフォーマルシャツの仲間入りをしたと言われています。
実に、それまでは公式の場面ではイギリス王室でも敬遠されていた訳ありのシャツなんです。
日本では何故?クレリックシャツと呼ばれるようになったのか?
色々と諸説はあるのですが「クレリック」とは「僧侶・牧師・神父・聖職者」などを意味する言葉であり、牧師が着ていた白い立ち衿の僧服に似ているところから名付けられたというのが一般的な理由のようです。
近年、イタリアなどでは日本のファッション文化も考慮され少しづつ変わってきているようですが、海外で「クレリックシャツ」では、まず通用しないようです。
コーディネートについて
見た目こそドレッシーに映るクレリックシャツですが、実際に気になるの点はビジネスシーンへの取り入れ方です。
基本的に制約などは特にありませんが、やはり着用の際には身頃の色や柄には注意する必要があります。
色無地の場合は淡い色味を選び、柄であればストライプ柄の中でも「ピンストライプ」や「ペンシルストライプ」など細やかなものが好ましいとされています。
あまりにも華美すぎるデザインはビジネスパーソンに必携の信頼感を損ねてしまう恐れがあるため、あくまでTPOをわきまえたクレリックシャツを選択するのが基本です。
注意点としてはストライプのクレリックシャツの場合、ストライプの幅とネクタイの柄の大きさに差をつけることです。
シャツとネクタイが同じ幅のストライプ柄は見た目に少々うるさく感じてしまいます。
また、ストライプ柄のスーツのコーディネートに関してもネクタイと同様の注意が必要です。
クレリックシャツはラウンドカラーを選ぶとさらに英国トラディショナルな雰囲気に
「クレリックシャツ」が大流行した、1920年代の英イギリス・ロンドン、その当時は、襟の先端が丸みを帯びた「ラウンドカラー」が紳士たちの間で流行っていたと言われています。
「ラウンドカラー」の「クレリックシャツ」はクラシックでブリティッシュトラディショナルな雰囲気を醸し出すには打って付けです。
シャツをレイヤードするスーツやジャケパンスタイルにおいて、いつもとはひと味違う印象に仕上げたい場合には、この「ラウンドカラー」のクレリックシャツを選んでみるのも非常に面白いかと思います。
まとめ
クレリックシャツは幅広い着こなしに合うとても優れたドレスシャツです。
白襟(ホワイトカラー)のため、どのネクタイとも(柄や色がバッティングしない為)相性が良く、1枚で着ても「ホワイトシャツ」などに比べ下着感も出にくいので、興味のある方は是非チャレンジしてみて下さい。
普段のシャツとは少し違う装いになること間違いなしです。